桜大黒の家(古民家改修)
兵庫県|淡路島
風景を受け継ぐ 築60年淡路島の古民家
淡路島の長閑な田園風景の中に建つ、築60年以上経過した古民家の大規模な改修計画。初めて現地を訪れ建物を見せていただいた時の感想は、そのままで、時を重ねてきた美しさとしっとりとした佇まいがあるなというものでした。内部を見せていただくと、桜や肥松など現在では希少な上質の材が随所に使われており、調査を進めていくと材の傷みも比較的少ない状態だということもわかりました。古民家の持つ伸びやかな空間や佇まい、使われているそれぞれの素材をできるだけ次世代へときちんと残せるよう再利用し、この古民家の良さをシンプルに表現することも大切に考えながら全体の再計画を進めていきました。
親族が集う和室の一部屋は、そのまま残す計画とし記憶の継承にも配慮しながら、それに続く板の間の部分には吹抜を設けたことで、上部から柔らかな光が建物の奥にも届くようになっています。この家を受け継がれた若いご夫妻が暮らすにあたり、来客時や日常の生活動線を打合せの中で何度も見直し新たに組立てながら、家族の気配が優しくつながる距離感にも配慮しています。淡路島のこの風景の中で存在感のある『佇まい』を受け継ぎながら、現代の住まいとしての心地良さを実現した古民家の改修となっています。
改修前の写真 (左から順に外観・玄関・小屋裏)
DATA
建築場所 | 兵庫県南あわじ市 |
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敷地面積 | 約830㎡(251T) |
延床面積 | 191.40㎡(57.8T) |
構造 | 在来木造2階建て |
用途 | 専用住宅 |
備考 | 古民家改修,リノベーション |